2012年6月アーカイブ

本村 伸子先生の書籍セミナー「Law Meaty Bones」レポート

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栄養学での師匠である本村先生のセミナーを 4ヶ月ぶりに受講してきました。

今回のテーマは「Raw Meaty Bones」という書籍から、先生が興味深く感じられたデータやトピックを取り上げた内容。著者がイギリス人なので、ほとんどがイギリス・アメリカ・オーストラリアでの動物園や動物病院で収集したデータに基づいた考察も含まれています。
原書を自分で全部読むのは 億劫で気が滅入るので(笑)、こうしてセミナーに取り上げていただけるのは大変にありがたいことです。


野生に近い食環境で飼育されているヤマネコやオオカミが、与えられた食事(様々な種類の丸ごとの死骸)をどう扱い、どの部位を食べ残すのか、といったデータはとても興味深く、なるべく自然に近い食事の提供を考えたい私としては「えっ?!そうなの?なんで?」、といった疑問点もけっこうありました。

消化管内での消化・吸収についても興味深く、都会の一般家庭で飼育されている犬・猫達は どれだけ食事内容に腐心しても、自然の状態ではない、ということも思い知らされた感がありました。

また、「犬・猫の口腔内の不衛生状態による身体へのダメージ」ということが、本の全般にわたって取り上げられていて、その内容に驚きました。
犬・猫は基本的には「虫歯にならない」と考えられています。肉食なので口腔内が酸性なので、虫歯にならない、というわけです。むしろ 歯石による歯周病が問題となり、歯肉の炎症から腐敗にいたることは一般に知られていると思います。特に小型犬の場合は、無理な小型化のブリードなどにより 上下顎に歯が収まりきれなかったり、乳歯が抜けないのに永久歯が生えてきてしまう、などで歯石が溜まりやすく 歯周病になりやすいことは、私も知っていました。
大型犬の場合は若干の歯周病があっても、口腔内が広いこと、マズル部が広いこと、などから 歯周病が口腔内以外に影響を及ぼす事例を 身近で見聞きしたことがなかったのです。

歯周病が健康状態に影響を及ぼすと指摘されていたのは、肝臓・腎臓・心臓・肺・腸・脳の問題・十字じん帯です。
ヒトの場合でも 歯周病が心臓病や糖尿病・痛風などの羅患リスクをあげていることは 既に知られていますから、犬や猫の場合でも 歯周病による健康への影響があるのは不思議ではないですね。

私が特に興味深く感じたのは、腸と十字じん帯への影響です。
消化管に問題を抱えている犬は私の身近にも多く、食事による改善のアドバイスは長期にわたることがほとんどです。調理法・食材・アレルギーの改善・乳酸菌を補う、などのアドバイスをしていますが、オーラルケアも必要だったのか・・・、と。

また、十字じん帯についても とても興味深い。
市販フードを食べていて 歯周病をもっているケースでは、じん帯のトラブルが顕著であるらしいです。

歯周病を防ぐためには オーラルケアを行うことが一番ですが、スケーラーを使っての歯石除去はお薦めできません。犬・猫の歯は 人ほどエナメル質が厚くないのです。また、スケーラーによって付いた傷で 歯石が付きやすくなる悪循環があります。
今は 液状ジェル等の塗布で歯石を除去できる製品が販売されています。

市販フードを食べている犬・猫は歯周病になりやすいので、特に注意が必要です。
フードに含まれている穀類は糖質なので、歯の表面に付着しやすいのです。

手作り食でも オヤツは市販のものを買われる方も多いのではないでしょうか。
特に 半生タイプやウェットタイプの柔らかいオヤツは人工甘味料が使われています。表記にソルビットやソルビトールとあるものは人工甘味料なのですが、柔らかさを保つためと 保存料となることで、市販の柔らかめのオヤツにはかなりの確率で入っています。

他に、テニスボール(表面のケバケバが問題)やディスク(プラスティック)なども、歯の表面を摩耗させます。
ボール運動の際に、口の中でボールをカミカミしながら戻ってくるようなタイプの子には ボールの素材も配慮してあげた方がいいかもしれません。